植木大介(以下植木):はい、どうも。One Issue第2回目、はじまりました!
山田浩輝(以下山田):もう2回目ですか。
植木:この番組はROXXのCOOの山田とagentbankの事業責任者の植木がスタートアップの成長や個人の成長にフォーカスして毎回1つテーマを取り上げ、雑談しながら新たな示唆を得ていく番組でございます。
ということで今回第2回、山田さんから1つイシューを持ってきてもらいました!
山田:はい、持ってきました!
植木:なんでしょう?
山田:みんな中長期大事だっていうじゃないですか。
でもちゃんと中長期に投資しているスタートアップって少ないと思うんですよ。
なぜか、という話。
これを会社全体で考えるといろいろな論点があるので、個人に絞って(考えます)。
みんな中長期大事だって言ってる割には、言ってるだけになっちゃうじゃないですか。
植木:そうですね、なかなか難しいですよね。
スタートアップの環境によっては特に。
山田:(中長期大事だと)思ってるけど、事態は動かないと。なぜだと。
どうやったら動かせるようになっていくのか、ということについて深掘っていきたいなと思ってます。
植木:いいイシューですね!
山田:最近思うことがあるんですよ。
みんな賢すぎるんじゃないか、という笑
賢すぎるから、逆に中長期を動かせなくなってるんじゃないかなあ、みたいな
植木:なるほど。
山田:なんでかっていうと、
中長期ってなかなか合理で説明しきれんな、、っていうのが最近の感覚でございまして。
100%うまくいく中長期プロジェクトなんてないじゃないですか。
植木:ないですねー。
山田:リターンもこのくらい、とかちゃんと説明するのって "鬼" 難しいじゃないですか。
植木: "鬼" 難しいですね。。。
山田:そんなことを考えている間に時間が過ぎ去っていって、スタートアップで言ったら "死" になる、とかあるじゃないですか。
思い返すと、中長期の何かが動く時って本当にちゃんと説明説明したっけな...?みたいな。
7年間を振り返りながら思うわけですよ笑
植木:そうですね、たしかに。
山田:最近自分もやっぱり、特に組織とかの中長期の動きが自分の範疇の中に出てきたから、動かし出すわけなんですけど、ちゃんと説明してないな、、みたいな。
1から10まで合理的にこうなってこうなって、リターンはこうで、みたいな説明してないぞ、というのをすごく思うようになったり。。
中長期のやつって合理だけで進むもんじゃないなってことを最近すごく感じるようになったんですけど。
中長期大事だって言ってるメンバーたちは逆に頭で考えて大事だって言ってくれるか合理性だけで物事が動いてない説明しきれないっていう壁にぶち当たって、結局動かしきれていないんじゃないか、みたいな。
これってなんなんだろうなーっていうの、どう思います?
植木:なるほど、たしかにスタートアップでは短期的な施策とか成果が求められる環境の中でとにかく合理的に説明ができて、かつリターンも早く返ってくるものを優先しちゃいがちっていうのはまず確かに思うんですよね。
その上で、長期的なものを動かそうとした時に説明すればするほど泥沼にハマるみたいな。
山田:あーやっぱそういう経験あります?
植木:ありますね!
長期であればあるほど本当に解もないですし、データって人を動かすためにあると思ってるんですけど、そのデータすらない中でいくと論理の拠り所となる根拠が基本的にはないじゃないですか。やる前に特に。
その段階でどんだけ理論武装したとしても机上の空論じゃん、って言われたらって言われたら終わりなんですよ笑
本当におわりで、うまく説明しようとすればするほど、ファクトがない中での合理性がありそうな論理を自分で組み立ててるだけで、なんかかしら誰か声の大きい人だったりとかちょっとした角度でこれってどうなの?って言った瞬間にもう何も言えなくなっちゃうっていうのは思い返すとありますね。
山田:それってそこからどうやって抜け出すべきなのかっていうのって、植木の中で昔はなかなか動かせない時期があった中で、最近中長期のものが走りはじめてて、実際に自分で動かすようになってきてると思うんだけど、そこって変化があったり意識してるポイントが出てきたりとかしてるんですか?
植木:そうですね。2つ方法があって。
1つ目が僕が失敗してた方なんですけど、とりあえずやっちゃう、っていう。
自分で個人として「これ必要だな」思うわけじゃないですか。このままやってもこれは短期施策だしずっと同じことやらなければいけない、もっとアセットとなるようなことやって中長期的にリターンを得ていくことをやっていきたいなって思った時に、(周りの)理解を得るのが難しいからとりあえず自分ではじめちゃおう、みたいな。
始めることは別にそれでできるんですよね。でも、後々大きなことやろうとかインパクトのあることをやろうとすると、人を巻き込まなければいけないっていうフェーズで頓挫する、ということが結構あるんですよ。
始めることはできてもインパクトがあるような形にすることがなかなか難しい。
っていうのが1つ目の方法かな、と思ってます。
うまくいく方法は何かって言うと、
やっぱり如何に信用を積み上げるか、だと思ってて。
(根拠の)説明ができないんでそれ以外の個人に紐づく要素で「あいつがやるなら大丈夫だろう」という状態をどう先に作るか、っていう方をまず考えるべきだなっていうのが1番の気づきですね。
山田:なるほど。じゃあその状態を作った上で、あんまり説明しないで通す、という方が実は最終的にちゃんと動かせると?
植木:そうですね。
山田:ということは、頑張るポイントが違う、と。
中長期を動かすために中長期が大事だということを論じたり、その中長期の計画を緻密に考えてうまくいく方法を他人に説明する用にめちゃめちゃ考えることではなく、
説明なんかあんまりしなくても良いよって言ってくれる信用を積み上げることに時間を使う方が結果的にちゃんと動かせる。
植木:そうですね。
まずとにかく長期のことやりたいんだったら、どうやったら信用積み上げられるのかっていうイシューと向き合うべき、っていう。
山田:それは植木はどうやって積み上がってった感覚がある?
積み上げたな、っていうのは(山田から見て)感じるんだよね。
じゃあそれを積み上げるためにどんなことを意識してたとか、どんな方法で信用信頼を積み上げてきたかっていうのは、振り返るとどう?
植木:そうですね。1番は前回も成長の話でもちょっと出たと思うんですけど、自分のことなんか考えてても意味ないな、って考えられるようになったこと、だと思うんですよ。
去年とかって自分限界説と向き合ってたわけですよ。笑
事業伸ばしたいけど、俺の力じゃない方がいいかもしれない、って正直思ってたんですよね。そこのどん底にいたタイミングで改めて自分とかどうでも良いんだけど、とにかく事業伸ばすために、会社を伸ばすためにもっとできることあるんじゃないかな、っていうのでフッて開き直った瞬間があって。そこである意味今まで以上に自分をメタ認知をして俯瞰できたんですよね。その時信頼を積み上げようなんて微塵も思ってなかったんですけど、こういう考え方に切り替わった半年にいつの間にか動かしやすくなったな、って感じになりましたね笑
山田:なるほどねー。そこの考えが変わった瞬間に何が結論行動として変わったんだろうね。
人間ってみんな考え方とか、マインドとかいうけど、結局最後は行動な訳じゃないですか。
言動ですよ、何を言うか、と何をやるか、これが変わらない限りマインドなんて変わってもなんの意味もないわけじゃないですか。他社からの評価という観点だとね。
自分の人生の満足度とかは高まるかもしれないけど、他社の評価からすると自分の言動が変わったと言う話だと思うんだけど、何が変わって信用信頼が積み上がるようになったんだろうね?
植木:そうですね、一言で言うと、自分の範囲外に落ちてるボールを何個拾いに行くか、かなって思います。個人の視座っていうことと似てる気がしてて。
レイヤーが上がれば上がるほど時間軸もそうだし見てる範囲も広がって行くと思うんですよね。でも自分のレイヤーとか範囲の中だけでやってることって別に仕事だし当たり前だし、周りからしても全く期待値を上回らないわけじゃないですか。
でもこれやったらもっと良くなるんじゃないかな、って思ってるイシューっていっぱいあるじゃないですか。それをみんな見過ごしちゃったりとか、見つけてもスルーしちゃってると思うんですよ。それを何個拾って形にできるか、かなって思いました。
山田;でもそのイシューって中長期ではない、ってことでしょ?
だって中長期だったら中長期プロジェクト動かさなきゃいけないわけじゃん。
植木:そうですね、もっと本当小さなとこだと思います。
小さなことを細かく拾うことが実は信用の積み上げにおいては一番重要なのか!っていま話しながら思いました笑
山田:なるほど!中長期をやるためには徹底的に短期をやり切ることによって、わかりやすく評価しやすいから信用信頼につながっていって、それを貯めることで実は中長期がやりやすくなる。
植木:そうですね!
山田:だから"賢い"とダメなのか。
植木:早く長期の方やらなきゃと思っちゃいますね、確かに。
入社したての人とかですんなり信用勝ち取る人とかって、めっちゃデカイことやったかっていうよりめっちゃ小さなことでボールをたくさん拾ってるなって思うじゃないですか。
やっぱそれですよね、改めて。
山田:なるほどね。
それってさ、少し嫌な言い方をするとごまを摺ってるんじゃないかとか、政治的な動きみたいな風に表現を変えて言おうと思えば言えちゃうと思うのね。
そこってどう?政治的な動きとかって植木嫌いじゃん。
植木:嫌いっすね。スタートアップにいる人みんなそういうの嫌だって言って大手とかから来てる人も多いから、僕も元々すごい嫌いでしたね。
でも政治的に動いてるとか、誰かの信用積み上げるために何かしてるっていう意識は別に必要ないと思うんですよね。これってやったほうがいいじゃん、とかこれって誰も前に進めていけど価値がある事じゃん、お客さんとか組織にとって良いじゃん、ってことをとにかく拾う、ただそれだけだと思うんですよね。
だから政治っていうのを表面的に連想させてしまう構造にある今の日本の政治が悪いです笑
山田:なるほどね。なんで政治的なものがだめなのかっていう問いにおいて、単純に今の日本の政治が悪いから政治=悪いという理屈になっているが、政治ってそもそもなんなんだっていう話をちゃんと立ち返って考えると、別にそういう結論にならないかもしれない、と。
植木:そうですね。
山田:なるほどね。
それを聞いて思うのは、政治とはなんぞや、って定義の話じゃん。
これはスタートアップにいる人も考えた方が良いテーマだなって今思ってて。
みんなただただ敬遠しちゃうと思うんだけど、政治って中長期の合理的に決められないことを決めるための仕組みなんじゃないかなって今の話を聞いてて思うわけ。
いろんな政治学者がいてみんな定義をしているんだけど、僕の好きな政治の定義はカール=シュミットっていう人がした政治の定義が好きで。賛否両論あるんだけど。
「政治とは友と敵を分けるものである」っていう定義なんですよ。
つまり、自分たちの仲間と敵っていうものを分けて、仲間を守り敵を殺すための判断であるっていうのが、カール=シュミットが言う、政治なんですよね。
なので、友を守るためには合理的じゃないこともするし、敵を殺すためには合理的じゃないこともやる、その友というくくりの価値観っていうものに徹底的に守るために意思決定をしていくっていうのが政治であり、政治じゃないとできないこと、っていうことを言ってるんですよ。
これってスタートアップも何かを目指しているわけじゃないですかl。そこにおいては一般論とぶつかることもあると思うし、全てが合理的にいけるわけでもないと思うし、それを考えた時にすごく政治の本質とかと近いものを感じるし、中長期の合理的に決められない